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「思い出すのは難しい」と決めつけちゃ、いかん。

Sさん(89歳男性)は元福島交通のバスの運転士。アルツハイマー型認知症を患っており、ご出勤されている感覚であっぷるの「庭」へ通われております。機能訓練のメニューである回想ドライブへ出かけた時には、走っている道がどこへ通じているのか地名等も含めしっかりと覚えておられ、同乗される方へガイドして下さることもあります。帰り際には明日の出勤時刻や日報の心配をされたり、また深夜帯にご自宅からデイサービスに電話をかけ「今日限りで退職致します。」とメッセージを残されたこともございました。

そんなSさんが昨年、奥様の入院に伴い初めてのサービス付き高齢者住宅あっぷるつりーのショートステイを利用されたことがあり、環境が変わったことにSさんは、宿泊している理由を忘れてしまわれる為、職員から説明を受けても再び確認をされる様子が続いたり「俺、おっ母いんだっけか?」と困惑されてしまう様子も見受けられました。

そんな中、私がデイのお迎えにあがった時です。「誰が迎えにきたか分かりますか?」とSさんを玄関までご案内した職員が私を指すと、Sさんは私の顏を見てすぐ「ケンちゃんだべ?」と即答下さりました。

私が入社した当初よりSさんは私を「ケンちゃん」と呼んで下さりましたが、その時まで深く考えたことはありませんでした。特別に訓練を行ったわけでもなく、Sさん自らご自身があっぷるの「庭」へ出勤する上で同僚の名前を覚える必要があると見出されたのか、またSさんの記憶の中の誰かと重なり、そう呼ばれているのか。詳細は分かりかねませんが、認知症を患っておられても職員の顏を見て名前が自然に出てくるSさん。あっぷるの「庭」を利用されてからの大きな変化の一つだと感じれたと共に、Sさんの思い出す力を実感した出来事でした。

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