息子さんと暮らすCさん(85歳女性)は、緑内障の進行と共に認知症状が著しく、デイサービスを利用されておりましたが、対応困難を理由にケアマネージャーからあっぷるの「庭」へ他のデイサービスとの併用利用での依頼がありました。
Cさんは視覚をほとんど失われておりましたが、見えないことに自覚がなく常に天気が悪いか夜間帯との感覚、また耳が遠く暗闇の中で不安を感じている様で、誰かが傍にいないと大声でご家族を呼ばれたり、介助への抵抗、暴力行為がありました。実際、他のデイサービスでの入浴介助を見学させて頂くと、悲鳴のような声で必死に抵抗するCさんの手を避けながら無理やり服を脱がせる介護員の姿がありました。昼夜の感覚もなく、ご自宅にいても帰宅願望が聞かれるCさん。仕事をされずに介護する息子さんの負担軽減のためサービスの介入が必要とのことでした。
本人の意思決定もないため、あっぷるの「庭」でも突然の大声や、湯飲みでテーブルを叩く様子も度々見受けられます。職員が手を握りながら会話を試みますが、長くは続かず、またCさんに声をかけて下さる他の利用者様とも関係性を築くまでには至らないため、静養室へ席を作り職員が交替で接します。歌謡曲や童謡を静かに聴きながら洗濯物をたたんでいると、徐々に「オレにばっか働かせやがって」と手先を動かすことも嫌がられるため、マンツーマンでドライブへ出かけ、Cさんの知っている歌を一緒に大声で歌ったり、故郷周辺へ向かいCさんの昔の話等を伺ったりもしました。前日の睡眠時間や排せつの状況でも気分が変わり、本当に気分が乗った時にのみ入浴をして頂いたりと、なるべくCさんの不快感や不安の無いケアを心がけておりましたが、ご自宅で転倒され大腿骨頚部骨折、その後施設入所となりました。
本人の意向が聞き取りにくい状況、自宅での不規則な服薬管理、併用しているデイのそれぞれ違った対応等様々な 背景が重なっていたと思いますが、デイ利用中止となった今でもCさんへのケアや自分たちができたかも知れない アクションを考える時があります。
Cさんへの介護だけではなく、自宅で介護する息子さんへの支援も含めた多職種での介入の必要性、またそれに対して私自身も成長しなくてはいけないと学ばせて頂いた事例です。